不老不死

うちに来るゲストの中では「アンコールワットは10年前に行ったからいいやー」と言って、遺跡見学に行かない人がいます。日本人に多いかな?それって大正解!

10年前にアンコールワットに行ったなら、もう行かない方がいいよ!

10年前に比べたら、めちゃくちゃになってるから。



昔は神秘的で古代(と言っても平安時代だけど)に思いを馳せることができたけど、今はアンコールワットを囲む堀を渡るための橋がトランポリン風味のはずむ感じ。遺跡とのマッチングはどうなのか・・・・

そして、そこら中に青いビニールシート、景観を考えていない支柱、鉄パイプ、色合いと素材を考慮していないつぎはぎの修復、せっかくのアンコールワットが台無しです。

それはタプロムや他の寺院もそう。

今のひどい修復作業が始まる前のアンコールワットを知っているなら、それを記憶にとどめて、今の状態は見ない方がいいと思う。

たとえアンコールワットがこれ以上見るに堪えない状態になっても、記憶の中では神秘的な映像が残り続けるんだから。



ゲストハウスやホテルも同じ。

私が10年以上前に泊まったホテルは今や老朽化していたり、経営者がかわってサービスがずさんになっていたり、潰れちゃったりしたところも多いんだけど、私の中では私が泊まった時の素晴らしい状態が何年も何十年も続いているわけです。

今となっては場所も名前も分からなくなってしまったけど、シェムリアップの超ステキなブティックホテル、プノンペンのアマンジャヤ・パンカム、ルアンパバーンのメゾンスヴァナフォン、ヴィエンチャンのグリーンホテル、北京の貴賓楼、バンコクのドゥシタニ、今となっては老朽化していたり経営者が変わってサービスが悪くなってるかもしれないけど、私の中の記憶は

不老不死。

泊まった時の素晴らしい記憶がずっと残っているのです。




私のゲストハウス設立の当初からの目的がこの不老不死。

ゲストハウスはたった8か月で閉めちゃうけど、ここに泊まったゲストの思い出の中では、私のゲストハウスは不老不死なのです。ゲストハウスがなくなった後も人の記憶の中で生き続ける。「あのゲストハウス良かったなー」と思い出してもらえる。

それを目的に、採算度外視の大判振る舞いと、苦手な英語を駆使してのめちゃフレンドリーな接客、ゲストが次にどこの街に行くか、その手配のお手伝い、チケット手配やビザのプリントも無料、おすすめ格安レストラン、遺跡以外の観光地、ものすごい情報量をインプットしてはアウトプットして、初めての国でも何の不安もなく過ごしてもらえるよう、ベストを尽くしてきました。目的はただ一つ。

不老不死。



たぶんこの目的は達成されたと思います。

このゲストハウスがなくなっても、たとえ私がこの世からいなくなっても、私は大勢の人たちの記憶の中で、年もとらずに永遠の命を得ることができるんだと思います。たぶん。



東南アジア旅行にまつわるアレコレ

バンコク在住の筆者が東南アジア情報について語ります。

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