相方のこと
今までYongとVinと私の3人体制でやってきましたが、Vinはうちのセキュリティ兼Yongのヘルプ、本職はフリードライバーでした。
で、「朝5時までセキュリティやってたら翌日眠くてドライバーの仕事ができない」ということで(セキュリティと言っても、うちのセキュリティはセキュリティ小屋で熟睡してるんだけどな。普通カンボジアのセキュリティは一晩中 門の外にあるイスに座ってるんだけどな。)Vinはうちを辞めて、代わりにWahという新しいセキュリティが入りました。
Wahはタイ語が堪能でおしゃべり好きで、話し出したら止まらない!
それに比べるとYongはどちらかと言うと無口なんだけど、歴史と遺跡が好きだし、政治の話も詳しいから、そういう話になるとすごく熱く語ります。
今日はそんなYongのことについて書きたいと思います。
私の友達でYongに会ったことがある人は「ヨンくん」と呼んでいるけど、私としては「ヨン様」と呼びたいです、別にヨン様ファンじゃないけど。
ヨン様
Yongは、一言で言うと
神。
上下水道の配管ができて、電気の配線、エアコンの修理、各種職人の手配からレストランの手配(予算とメンバーを聞いて最適な店を予約してくれる)、英語で遺跡の説明ができるトゥクトゥクドライバーです。そして何より、私は民主主義と選挙を否定しているというすごい考えの持ち主なので(タイの軍事政権さいこう。ドバイの世襲制も素晴らしい。多数決でカードゲームみたいなヤツを大統領にしちゃう国は一考してみてはいかがでしょうか。)普通の人はまともに私と政治の話なんかしないんだけど、Yongはどこまでも選挙の必要性を訴えて(まあ、32年間も首相が変わらないんじゃ選挙が必要だと思うのは同然だけど、そんな体制でまともな選挙ができるとは思えん。現に野党は国外逃亡したり選挙権はく奪とか、来年の選挙に備えて今からそんなことやってんだから)、政治の話をするとキリがない。
カンボジアの教育の問題点も分かっていて、すごく客観的に判断できる。
そして無口なんだけど、何も言わずに黙々と仕事をこなして「そーいえば、会社設立の話どーなった?」と聞くと、とっくに必要書類を揃えてエージェントに届けてあったり、「噴水作るって言ったって、電源どーすんのよ。」と聞くと、すでに噴水を作る時に備えて、地面の下に電気コードを通すパイプを通してあったり、「あの木の枝のせいでソーラーパネルに日差しが当たらないYO!」と言うと、その場で素足で木に登って なた(!)で さっくり伐採してくれたり、停電の翌日には、何も言わずに停電しても水道が使えるように配管を変えてくれたり(うちはモーターで地下水を汲み上げてるから、停電すると水道もトイレも使えなかった)、私が「もうイヤだ。タイに帰りたい(日本でなく)」と言う度に叱咤激励してくれたり、相方としては最強。
一方、うちに帰るといいお父さんで、寝る前にはいつも子どもに本を読んであげて、休みの日には遊園地(キョンギュウ。street sixtyと言った方が通じるかも)に連れて行ってあげたり、子どももYongが大好き。
Yongの家には水道が通っていないしもちろん浄水器もないから、茶色い井戸水をそのまま使っていて、家にある電化製品(?)は裸電球ひとつだけ。家にはドアも窓も網戸もないけど、盗まれる物が何もないからいつも全開。枕元にネズミがうずくまっていて、夜は蚊に刺されまくり。
それでも友達がたくさんいて、近所の人と助け合って暮らして、休みの日にはお姉さん夫婦が遊びに来て、「これが人間の幸せってヤツなのでは?」と思わせる人です。
こんな完璧な人、見たことない。
Yongに比べたら、一流企業に勤めてる高所得者とかIT長者とか経営相談なんかやってるヤツがすごくつまらない存在に見える。
カンボジアで得た最大の収穫は、こんな人間がこの世にいる、って知ったこと。
そして今まで自分がどれほど狭い世界でどれほど狭い価値観で生きてきて、どれほど無知で無力か知ったこと。
せめて、なたで木の伐採ができるようになりたいです。
でも、なたって狙ったところにうまく当たらないんだよねえ。
斧より切れ味が悪いから、ピッタリ同じ個所を連打しないといけないし、難しいです。
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